
こんにちは、メグです^^
是枝裕和監督作品「海よりもまだ深く」です。
阿部寛初カンヌ応援のつもりで!楽しみにして観てきましたが、この映画は大分、樹木希林にしてやられましたねぇ~
あの年季の入った存在感とさりげない一言の中にずしっとくる説得力。。
さすがでした。
いや、もちろん、阿部寛、当たり前によかったです、ハイ^^
いやぁ、やっぱり情緒的、いい日本映画は・・いいですねぇ~~シミジミ
ネタバレありレビューいきます!
あらすじ
映画『海よりもまだ深く』予告編(5/21公開)
笑ってしまうほどのダメ人生を更新中の中年男、良多(阿部寛)。15年前に文学賞を1度とったきりの自称作家で、今は探偵事務所に勤めているが、周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳している。元妻の響子(真木よう子)には愛想を尽かされ、息子・真悟の養育費も満足に払えないくせに、彼女に新恋人ができたことにショックを受けている。そんな良多の頼みの綱は、団地で気楽な独り暮らしを送る母の淑子(樹木希林)だ。ある日、たまたま淑子の家に集まった良多と響子と真悟は、台風のため翌朝まで帰れなくなる。こうして、偶然取り戻した、一夜かぎりの家族の時間が始まるが-。
(「海よりもまだ深く」公式サイトより)
役の個性にしっかりハマっている俳優方々
阿部寛の普通にヨレヨレなダメ男っぷりはもう~、「仕方ないやっちゃなぁ~~」ってちょっと笑えちゃいましたね。
普通のダメ男なんですが、でも、「普通を演じる」って実は、すごく難しいことなんじゃないですかねぇ
それを自然にうまくやってのけている、、地でやっているかとも思わせられる・・・いや、やっぱり素晴らしい俳優さんです。
そして、真木よう子のいつものあのキャラの淡々とした冷静な強さ、こちらもまた「地か?」と思うほどの「真木よう子!」でしたね。
そしてそして、やっぱり樹木希林。
樹木希林が普通の会話の中でさらっと、たとえば
「なんで男は今を愛せないのかねぇ」とか
「幸せってのはね、何かを諦めないと手にできないもんなのよ」と
ほんとにさらっと言うその一言一言が、演技というよりも樹木希林本人の人生からくる一言一言のようなさりげなくも、ものすごく説得力があるのです。
なんということはない日常の物語
(少しネタバレあります)
映画はなんとなく「やっぱり母の子に対する愛が海よりもまだ深いってなテーマなのかなぁ」くらいの先入観で予習はせずに観たのですが・・・
物語のストーリーは本当にありふれた日常で、誰も声を荒げることもなく、大きな事件があるわけでもなく、淡々とありふれた日常が流れていきます。
持ち家に憧れる賃貸団地住まいの日常。
舞台の東京都清瀬市の旭が丘団地は、是枝監督が9歳から28歳まで暮らした団地だそうです。
狭い団地のがさがさした室内も懐かしく、団地世代には「あるある~~」と懐かしいような生活。
私も千里ニュータウンのほんとに同じような団地で育った団地っ子なのでとても懐かしく観入りました。
そして、母の豪華ではないけど美味しいお惣菜や、おあげさんの入ったシンプルな「カレーうどん」なんかもう、美味しそうで美味しそうで!
そして、台風の一夜が神様の仕業的な一夜でした。
日常は何も変わらないけれど、何かが変わった台風の一夜、
「台風ってなんかわくわくするのよねぇ」、みたいなことを樹木希林演じる母が言うシーンがありましたが、
私もそうなんですよねぇ、なんでしょうね、怖いもの見たさみたいなものでしょうか。
雷の稲光とか何度もカーテンをちら~と開けて眺めてしまいますし、台風の夜も、何度もちら~とカーテンを開けて外を見てしまいますね。
その台風の夜のクライマックスの場面で、真木よう子演じる妻が阿部寛演じる夫に静かに強く言う一言、、、
それに夫も静かに、自分も進むために、答えました。
そして、台風一過の次の日、またそれぞれに見た目は変わらない日常が始まります。。
海よりも深いもの
『海よりもまだ深く』といえば、テレサ・テンの『別れの予感』の歌を思い浮かべてしまったのですが、やはり挿入歌として流れています。
この曲は団地住まいの主婦たちが密かに憧れるドラマティックな恋心の歌・・・
「みんながなりたかったものになれるわけじゃない」という映画のコンセプトにつながっているとお聞きしました。
そして題名のごとく、もちろん母の子に対する深い愛は当たり前にありました。
それだけでは当然なくてもっと深い、まさしく「海よりもまだ深い」、とても静かで深い、それぞれの人生に対する深い真摯な向き合い方というようなものが、心に染みる感動作でした。
エンドロールが終わっても、なんでしょう、いつまでもそこに座って浸っていたいような、時間がたてばたつほどなんだか悲しくはないんですが、愛しくて泣けてくるような。。。
場面場面を思い出してみても、どこを切り取ってもなんだか泣けてしまうようなんです。
海よりもまだ深いもの・・・「人」、、、誰もが、「人間」の存在自体が
海よりもまだ深いもの・・・「人の人生」、、、どんな人生でもその人の「人生」そのものが
海よりもまだ深いもの・・・「つながり」、、、自分の心、想いとの、自分の人生との、自分と関わっている全ての人や環境や出来事や
何もかもがそう、深いんですね、何もかもが愛しく思えるような、人や人の人生に対する深い愛がありました。
だから大切に、自分に誠実に、自分なりに精一杯自分と向き合い、関わってそして前に進む。
子どもの頃になりたかった大人にはなれなかったけど、それでも前に進む。
年老いた母のこと、息子のこと、別れたいと思っている夫とのこと、
自分と重ね合わせて思うことも多く・・・
私も夫にこんな風に強く静かに、自分の決意を伝えられるような強い人間に、女性ではなく一人の人間になりたいと思いました。
是枝監督の指示の的確さがスゴイ
そして、パンフレットから少々ですが、、、
俳優さんのコメントで是枝監督の指示の的確さが素晴らしいと思いました。
俳優さんに指示する役作りなんですが
例えば阿部寛の部下演じる池松壮亮さんは、是枝監督に「阿部さんを横で○○○○あげてください」と一言だけ言われただけだそうで、その言葉だけですべていけるなと思ったそうです。
映画を観れば、この役はウンウン確かにそんな感じ~~!なのです。
○○○○の中に入る言葉は・・・コッソリ書いてしまいますと
「阿部さんを横で見守ってあげてください」
いやースゴイ一言ですよね、テクニックとかじゃないんですよね、「その気持ち」が現れるということですよね~!
阿部寛の上司演じるリリー・フランキーにしても、是枝監督からは「○○人か、○○人か、わからない感じでやってください」と言われたそうで、
これも、ウンウン確かに~~~!という感じなのです!
こちらもばらしてしまいますと、、、(ナイショにしててくださいね!)
「良い人か、悪い人か、わからない感じで」だそうで
そう言われるとほんとに、「このひと、、いい人なのか悪い人なのかわからんなぁ」
そんな感じの役なんですよ、もうスゴイです!
いゃぁ、短くも的確な指示・・・そして、きっと俳優さんの個性を分かって言っていらっしゃるんでしょうねぇ、(当たり前?!)素晴らしいなぁと思いました。
他の俳優さんにはどんな演出をされたのかしら・・・
うまく言えないのですが、こういう監督さんのもとで演技ができる俳優さん、幸せだろうなぁと単純に思いました。
全くしょうもないネタバレ
あ、それと、、余談ですが少ししょうもないネタバレをさせてください^^
映画の中でこのグラスが出てきます↓
ウチにも丁度あったので、映画を観ながら
「おおっ、それはっっ」と思わず突っ込みを入れてしまいそうになりました(笑)
映画の中では樹木希林がこのガラス容器に、
カルピスを凍らせて、おやつ?にしていたのです。
このガラス容器・・・
是枝監督に確かめたわけじゃないので100%そうとは言えませんが・・・
99%、多分・・・そう・・・これは・・・・・!
モロゾフのプリンのガラス容器!!!
結構このガラス容器、捨てずに使っていませんか?!
プリンの容器にしてはしっかりしすぎなガラス容器なのです。
こんなところにもwww、庶民の生活感満載です。
モロゾフのプリン、いろんなお味のがあって、
しかも、どれも美味しいんですね~~^^
このしっかりしたガラス容器、モロゾフにもこだわりがあるとのことです。
→モロゾフのホームページ
最後にプリンにちょっと脱線してしまいましたが( *´艸`)
ぽかぽかした春の午後にのんびり~と観たいような、、情緒深い、いい日本映画を観たなぁ~~
というしみじみとした感じになりました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
「海よりもまだ深く」
監督:是枝裕和
原作:是枝裕和
出演者:
阿部寛
樹木希林
真木よう子
小林聡美
リリー・フランキー
池松壮亮
吉澤太陽
橋爪功
他
主題歌:ハナレグミ「深呼吸」
公開:2016年5月21日
配給:GAGA★